THE LIVE 2025 彩音来福、お楽しみ頂けましたでしょうか?
今回のセットリストは、いつも以上に色々なジャンルを織り交ぜた楽しいものに仕上げたつもりです。
一般的な吹奏楽団の演奏会では味わえない、なんというか「インプリメーレ上級編」なライブになったかなと思っています。
そんな幅広い全12曲について総監督:迎自らの解説です。
1. Circle Of Life
1曲目に、僕のソロを持ってくるというのは、確か1回だけあったよね。
いつだったか、第8回定期演奏会だっけな?その時は「星に願いを」だった気がするけど……
皆さんがトランペットにどんなものを求めてるのかは未だに分からないんですが、ハイノートで盛り上げるのがトランペットの宿命かなと思っています。
オープニングから、景気よく、皆さんにも、バンドメンバーにもテンション上げてもらうべくこの曲を選んでみました。
2. Sing, Sang, Sung
僕は子供の頃からビッグバンドサウンドが大好きで、だけどいわゆるレガシーな「A列車で行こう」とか「ムーンライト・セレナーデ」とかそういう楽曲をよく聞いてました。
大学でビッグバンドに入った後、いろんな人からいろんな曲を紹介されるんだけど、Gordon Goodwin’s Big Phat Bandには度肝を抜かれたね。
なんだ、このグルーブ感は!というのももちろんあるし、音のタイトさだったり、それぞれのパートの役割がどれもかっこよすぎでもう……さらにライブで生音を聞いてみるとCD音源なんじゃないか?ってくらいにバシッと揃ってるわけですよ。
で、この曲みたいな超有名曲のオマージュもかっこよく作ってくるわけでしょ。もうね、好き以外の言葉が出てこない。
そんな大好きな楽曲、吹奏楽団でやってるところなんてまず無いので、ファーストペンギンになってみました。
クラリネットのコピー、ほんと大変だったと思うけどよくやってくれたよ。ありがとう。
3. 星の降る森
エンターテインメント集団という側面で、めちゃめちゃ尊敬しているバンド。
そしてもちろん単純に大好きなバンドであるズーラシアンブラス。
彼らの楽曲って、どれも景色が頭に浮かぶ素敵な曲が多いんです。
中でも、僕はこの曲がとっても好きで。星ってさ、誰もにとってロマンなんだと思うんですよ。
大切な誰かが亡くなった時、よく「星になった」って表現をするけど、そういう想いを馳せる対象が星なんだよね。
ここまでガンガンに進んできたライブも、少し落ち着いて広がりをもたせたいなと思って3曲目に入れました。
1, 2曲目がみんなよく知る楽曲ということもあるので、ちょっとファンタジーな世界にしてみたかったというのもあります。
4. 音楽祭のプレリュード
毎年セットリストを考えるときに、候補には上がるんだけど最終的にトーナメント落ちしちゃうのがこの曲。
実は、僕が中学の時に吹奏楽コンクールの自由曲で演奏したことがある曲なんですよね。
結果は散々だったんだけど、なんかこの曲が持つ明るさというか、響きが妙に心に残っててね。
好きな作曲家ってみんないると思うんだけど、アルフレッド・リードのわかりやすいコード進行や展開が自分自身に刺さったんだろうね。
「THE 吹奏楽」な曲をここからしばらく続けるために、やっと本番まで残ってくれた楽曲です。
5. Mont Fuji(富士山) ~北斎の版画に触発されて~
昨年「”地球” -美しき惑星-」を選んだのですが、実はこのときに選曲トーナメントで最後まで残っていたのがこの、富士山です。
星の降る森でも書いてるし、度々ライブでも言ってきてるんだけど景色が見える楽曲は良い楽曲だというのがずっと僕の中にあって。
ほんと、タイトル通りじゃない?この曲。
富士山の雄大さもあるし、富嶽三十六景の神奈川沖浪裏に代表される、荒波の様子も見事に表現されてるし、それでいて全体的に和なテイストは崩さず最後まで曲は進むし……
これまでのインプリでやってきた曲の中でも最難関レベルの曲なので、この人数でできるのかめちゃめちゃ不安ではあったんだけどメンバーの実力にはなんの心配も無いからね。
初見ではちょっとわかりにくかったかもしれないけど、また何回か聞いてみてください。
いろんなところからいろんな素敵な音が聞こえてくるので。ま、ライブでは「なんかすごかった!」って思ってもらえれば十分です
6. アルメニアンダンス パートI
これもまたアルフレッド・リードの作品ですね。
毎年そうなんだけど、「吹奏楽の定番」みたいな曲はあえて避ける傾向があって。
だって、世の中には超・超・超上手な演奏動画や音源がいっぱいあふれてるわけじゃないですか。
それも日本だけじゃなく世界中に。そんな中で、アマチュアの僕らが演奏したところで満足してもらえるんだろうか?みたいなことがずーーっと頭にあって。
で、避けてたんだけど好きな楽曲であるのは間違いないんだよ。これ。
途中、変拍子のところ、多分初めて聞いた方だったらどうなってんのかわからないうちに先に進んでたよね?
そう、その感覚になれるのがたまらなく面白いポイントでさ。もう一回、二回と繰り返し聞きたくなるんだよね。
みたいなことを考えてると、なんか難しいこと考えずにやりたいことやればいいじゃん!と開き直って選曲しました。
結果的に、後半のスタートにも意外性があって良かったしさすが定番曲ですね。
7. 祝い唄と踊り唄による幻想曲
2025年度吹奏楽コンクールの課題曲から選びました。
毎年、ひとまず課題曲は購入してREC用に収録するんだけど、なんか最近の課題曲って演奏映えする曲が増えましたよね。
この曲も、日本の伝統音楽な要素もあり、荒々しさも表現されてたりと演奏しててとっても楽しい曲でした。
ただ、コンクールでこれを選ぶのはだいぶ勇気がいりそうだけど……うちの場合、毎年アンケートにも書いてもらえる「打楽器の人たちが楽しそうだった」を、この曲だったら体現できそうだなと思って選んでみました。
やっぱり日本人なんだよ。僕ら、こういうの割と得意。
8. Rhapsody ~ Eclipse
もう一曲、2025年度吹奏楽コンクール課題曲からです。
前半のゆったりした曲は Rhapsody という楽曲、途中からテンポが上がって軽快なメロディーが始まりますが、それは Eclipse という楽曲。つまり、メドレーですね。
なんだろうね、この宇宙とか星とかがテーマになると一気に曲がキラキラする感じ。
やっぱりね、面白い曲とはいえ、祝い唄は聞くのにもちょっと集中力いるんだよ。
気を張らなきゃいけないというか、そのテンションを緩めるのにもこういうキラキラした曲はいいよね。
9. オペラ座の怪人
前の曲で、少しキラキラさせたのでファンタジーな楽曲を。
ライブにはさ、ディズニーとかジブリとかそういう「国民的アニメ・映画」だったり「誰もが知るミュージカル」の曲は必要不可欠だと思ってます。あえて選んでない年もあるけど……笑
今回は、ミュージカルとしても映画としても超有名なオペラ座の怪人を選びました。
言ってしまえば、「ファントムの壮絶な嫉妬劇」なんだけど、なんというか誰もが心の奥底に持っている「嫉妬」を、容赦なく極限まで描き切った作品だと思うんです。
愛する人が他の誰かと笑い合う姿を見た時の、胸を締め付けられるような痛み。
それが天才的な頭脳と社会から排除された孤独が結びついて、結果的にどこまで狂気的になるのかを見せつけてくれる。
で、その嫉妬が「美」となって音楽に表現され、なんとなく見ている僕らはファントムに共感しちゃう。
そこでイケメンで金持ち御曹司のラウールが出てきて、クリスティーヌが奪われてしまう構図がもうね。そこからファントムの暴走を「いやいや、だめだろ!」と思いながらもその絶望は理解できるというか。
なんだろ、人間の一番醜くて、最も普遍的な感情を、最も美しく仕立て上げた作品だから好きなんだろうか?
長々書いちゃいましたが、要はオペラ座の怪人が、ミュージカルの中で一番好きなので選びました、という話です。
10. 吹奏楽のための「風之舞」
2004年の吹奏楽コンクールの課題曲です。
笑ってこらえての「吹奏楽の旅」で世間的にも有名になったこの曲ですが、これも実は北斎に影響された曲なんですよね。
浮世絵だったり、歌舞伎、粋といった江戸時代の世界観を吹奏楽で表現したかった、というのが作者の想いなようです。
これも、アルメニアンダンスと同じく、吹奏楽の定番をこれまで選んでこなかったけど、やってみたいとずっと思ってた楽曲として選びました。
11. The Trombone Rag
うちのバンドメンバーは、全員素晴らしいというのは大前提なのですが、特に注目してもらいたいのがトロンボーンパートです。
ずっと同じメンバーでやってると、音のベクトルとか演奏姿勢とか似てくるんですかね。
というか、トロンボーン、スライドが長い分動き自体が似やすいのかな?
年々、二人のシンクロ率が上がっていってるように思うんですよ。
ということで、そんな二人の演奏を見てほしいということでトロンボーンフィーチャーな楽曲を最後にもってきました。
自分の奥さん贔屓でしかないですが、彼女はよく練習中にもバンド全体にブームが起こるようなささいなきっかけを出してくれたりするユーモラスな人です。
それにつられてトロンボーンパートが二人してそのムーブメントを全体に広げるような動きをするので、かっこいい楽曲というよりかはポップな曲のほうが良いかなぁということで選びました。
12. アンコール de 大合唱
ここはね、去年のアンケートに「みんなで歌える曲があったら」というコメントをもらったことで考えた企画です。
もうこれからリクエストコーナーはこの形式にしようかなと思ってるんですが、どうですかね。
今回選んだ4曲の中には、なかなか歌いづらいものもあるんですが、お客さんもどんどんレベル上がっていってますからね。
「よく教育されたお客様」なんて言ってますが、ほんとにインプリへの理解が深い!
みなさんなら、どんな曲でも一緒に歌えます。ということで、また来年も楽しみにしておいてください。